百合
□世界はひっくり返る*03
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「デート。しませんか?」
「却下」
「ちょっとおおお! そんな即答しなくたって、もう少し考えてくれても良いじゃないですか!」
食い気味にきた返事がキッパリした否定で、さすがに私は里美さんに抗議する。
しかし、それに返ってきたのも、これまた容赦ない言葉。
「なんでわざわざ時間さいてまであんたと過ごさなきゃなんないの。有り得ない」
「だってえええ! 休みの間里美さんに会えないのツライですよおおお」
「私はつらくないから良い」
「ひどい……」
ぐすんっとわざとらしく鼻をならすと、里美さんが顔をしかめて私に言った。
「大体、今までそんなの言ったことなかったでしょ。いきなり何よ」
「我慢してたんですよう! それに、今週末は叶美も用事あるとかでウチに居ないし……寂しいんですよぉ」
「あっそう。妹の代わりになれってワケね」
イライラした様子の里美さんは、私からふいっと目をそらした。
「えっ違いますってばぁ! 確かに叶美居ないのも寂しいですけど、里美さんと会いたいからってのが一番ですよっ」
「うるさいシスコン。そんなの聞いてない」
ジロッと鋭い視線が突き刺さる。
でも、分かってるんですよ。またこっちを見てくれたってコトは、ちょっと機嫌なおったんですよね?
「ふふっ、デートしてくれます?」
「しないって言ってんでしょ」
それでもやっぱり、なかなか頷いてくれない里美さん。
「えーー、こんなに頼んでるんですよ!?」
私は最終手段に出て、里美さんにへばりつき頼みこむ。
強気な性格をしている里美さんだけれど、力は私に叶わないのを知っているから、こうなったら私から離れるまでは解放されない。
「うっとうしいから離れなさいよ!」
「良いって言ってくれるまで離しませんー。一日っていうか半日だけじゃないですか、デートしてくださいー!」
里美さんは最初抵抗を見せていたが、私が許可を貰うまでは、里美さんから離れない事が分かったのだろう。
どうしようもないと悟ると、早々に、しぶしぶながらも望みの返事をくれた。
「〜〜っ、もう、分かったから! だから離しなさい!」
「えっ、やったデートしてくれるんですね!」
里美さんのOKを聞いて、ぱっと腕を離す。
離れた瞬間、里美さんには視線だけで人を殺せるんじゃないかってくらい睨んで来られたけれど、あんまり気にしないことにする。
「ふふ、デート土曜にしますか? 日曜にしますか?」
「あんたと過ごした疲れを癒さなきゃいけないから、日曜はパス」
「じゃあ、土曜ですねっ」
「…………」
ちょっとしたイヤミも、里美さんとデート出来ると思えばなんてことはない。
里美さんの腕に上機嫌で絡みつけば、思いっきり振り払われる。まあ、いつものことだけど。
「楽しみですねー」
「あっそ」
2013/07/01