BL小説
□insensitive
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俺は、この気持ちがなんなのか、わからないまま、こいつと、何日も寝た気がする。
今日も、隣を見れば着物も脱いだままの総司が俺をじっと見ていた。
「一君ってさぁ、肌白いよね」
「…そうか?」
「うん、すべすべだし、女の子みたい」
そう言いながら総司はケタケタと笑った。
総司が笑うと自然に嬉しく感じている自分に、気が付いてないわけではなかったが、気が付いたらいけない気がしてたのだ。
だけど、総司は。
別に俺以外の奴にも笑い掛けてるし、きっとこんな関係だって、俺以外にも山程いるのだろう。そういう奴なんだ、こいつは。
だから、俺は。
こんな気持ちは、持ったところで何の意味もないことくらい、随分と前からわかっていたんだ。
「はーじっめくん?」
「…え?」
「どうしたの?眉間にシワなんか寄せちゃって。らしくなくはないけど」
「……どういう意味だ」
「だって一君普段いつもムスッとしてるじゃん、」
「何も考えてないだけだ」
「じゃあもうちょっとニコニコしたらいいのに」
「何も可笑しくないのに笑う意味がわからないんだが」
「可笑しくなくたっていいんだよ、僕、一君の笑った顔結構好きだからさ、笑ってよ」
「…っ」
そういう、ことを
あまりサラリと言わないで欲しいものだ。
咄嗟に着物を着直して、布団から出た。
「どこ行くの?」
「……部屋に、戻る」
「えぇ〜、なんで?」
「なんでって…」
はおった着物の袖をちょいちょいとつまんで、総司はひたすらおもしろくなさそうな顔をした。
少し、目をそらす。
「…わからないんだ」
「ん?」
「…どうして、毎日のように総司が俺と寝たりするのかとか、」
総司だけはいつも、俺の気持ちを言わなくたって気付いてたりだとか、そういう。
「……自惚れそうになる時が、ある」
「自惚れ、ねぇ…」
「だから、これ以上…」
傍に居ない方が、いい気がするんだ、と言おうとしたら、寝転んでいた総司が起き上がり、俺の目をじっと見つめた。
「これ以上、何?」
「…あ、いや…」
「嫌ならやめてあげようか?」
「嫌、なわけ、じゃ、ない」
「ふーん、じゃあいいじゃん」
ふふっ、と鼻だけで笑って、総司は俺が着たばっかりの着物を肩から脱がした。
見えた肌に総司は顔を埋める。
「言っとくけどさぁ」
その位置に顔をあてたまま、俺の顔を見て、続けた。
「僕、こんなこと、一君にしかしてないからね?」
まさか、気付いてないとは思ってなかったな、と言って笑った総司の声は、あまりちゃんと耳に入らなかった。
そういう所がツボなんだよね
(つまり、総司は…俺の事…?)
(あはは、一君って可愛いよね)