短文

□雨の日は嫌い
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その日は、朝は晴れていたが昼から雨が降りだした。
いつも一緒に帰っている筈の、マースは今日は士官学校特有の射撃訓練補習真っ最中だ。
マースなら確実に傘を持ってきていたのに。
残念だ、濡れて帰るか……と、玄関から足を出した瞬間。

「ロイっ!」

後ろから愛しい人の声がして、次の瞬間には私の上に傘があった。

「……間に合った」

ハァハァ、と荒い息をついているということは急いできてくれたのだろうか。
そんな些細な事さえも嬉しく感じてしまうのは相手がマースだからだ。
他の奴なんか傘を差し出されてもはね除ける。
事実、私と相合い傘をしようと何人もの男が傘を差し出したが、私は全て丁重に断った。
嬉しい事は嬉しい。
嬉しくないわけがないが……何故マースがここにいるのだろう?
射撃訓練はどうしたというのだ。
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