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□桜の罠
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「桜ってきらいだなぁ〜。孝介もそう思うよね??」
「あー。」
「もう!何そのあきれた反応!もっといい反応ないわけ?」
「だって、お前、そのセリフ、昨日も一昨日もその前も・・・。
何度も聞いて飽きたっつーの。
それにこの桜だって毎日毎日・・・。」
はい。私は今幼馴染の泉孝介君といっしょに登校中です。
いやいや、桜は何度見ても飽きない!
なのに、孝介の反応は・・・全く。
まぁ、そんな孝介が大好きなんだけどね。
いつかこの桜を孝介と2人で見れたらなぁ。なんて思っちゃたりして。
あ、今も2人か。いや、そうじゃなくて、彼氏彼女として・・・キャ−。 デヘ
「何、きもい顔してんの?」
「はぁ?何がきもい顔よ!」
「ニヤニヤしてたじゃん。」
「う・・・。(さっきの妄想してたときか。)ニヤニヤなんかして・・・」
−ボトン−
ン?今、私の肩に何か落ちてきたよね?
え・・・うそ。
「キャー、けむしぃぃぃー!!!」
「ちょ、お前落ち着けって。」
毛虫が肩に乗ってるのに落ち着いてられるかぁー!!!
「やだやだやだやだ。けむしぃぃぃ!!!」
「取ってやっから。−ポイ−」
孝介は私の肩に乗った毛虫を取ってくれた。
うわ、かっこいい、やさしい。
あれ?でも、毛虫って素手で取ったら・・・。
「え、ちょっと、何してんの?毛虫素手で取ったら・・・」
「お前なぁ、取ってやったのにそのことばは何だよ。」
「え、だ・・・。ありがとう。でも・・・、かぶれちゃうって・・・。」
「ンなこといいから、早く学校行かねぇと遅刻すンぞ。」
「でも・・・。」
「ほら、行くぞ。」
そう言って孝介は進もうとしない私を手をつかんで引っ張ってくれた。
そんなたくましいあなたにまた惚れてしまう私がいるのだった。
桜の罠
(ねぇ、もうこの道通るのやめよう。)(はぁ?)(もう、桜なんてやだ。)(・・・お前なぁ。)