Story

□人妻財前シリーズ@
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「なんかさ、新しく引っ越してきた102号室の人、うるさくない?」
「そうですよね〜〜!なんか音楽聴いてるっぽいんですけど、結構音量大きくてメーワクなんですよぉ」
「ウチも子供ちっちゃいからさ、子供泣くんだよねぇ」



・・・と噂の102号室の前にあたしは立っている。

なんでかっていったら、あたしは隣の101号室の住人ですから。正直、あたしが一番、102号室からの騒音に迷惑してる。


あたしの住んでいるマンションに、お隣りさんが入居したのは二週間くらい前のこと。話をしたことはないけど、ちらっと見たことはある。黒髪から覗くたくさんのピアスが印象的で、正直ちょっと怖かった。
んで、その人。なぜか102号室からは、真昼間からバカスカ大音量で音楽が流れてる。
それがうるさいっていうのが最近のマンションの話題のタネ。そして、あたしはうっかり、「じゃ、あたし注意しますよ!」とか言っちゃって。

ここにいるわけです。

あーあ、なんであんなこと言っちゃったんだろ・・・。

ため息。

でも、うるさいのは本当だしなぁ・・・どうしよう・・・・とか思ってドアの前で悩んでたら、

きましたよ。
大音量!!!

それにつられたように聞こえる、子供の泣き声。


よし!
あたしは勇気をだして、インターフォンを押した。


「すみません、隣の101の物なんですけど・・・」

お、音が止んだ。
こっちにくる足音。
緊張して、下を向く。

「はい、なんすか?」
「隣の者なんですけど、音楽の音量下げてもらいたいなって思って・・・」


そこまで一気に言って、頭をあげた。

目に映ったのは、骨張った首筋に添えられた手と、困った顔。
うーーん、注意に来といてなんなんだけど、こんな格好いいひとだったんだ・・・・お隣りさん。

「音、外に漏れてはりました?」
あ、関西弁。新鮮。
「はい・・・結構・・・」
「ほんますんません・・・このマンション、結構防音性あるて聞いてたもんで、油断してましたわ」

あ、本当にこの人困ってる。視線がうろうろしてる。うなじもほんのり赤い。
なんだかものすごく反省してるみたいだし、許してやるか。
そのあと、あたしと隣の財前さんは、いろいろお話した。外資系に勤めるサラリーマンなこと。音楽の原因は、趣味の作曲だったこと。転勤でこっちに来て、まだ慣れてないこと。


それが、あたし達の出会い。

あたしと彼の、恋の始まり・・・。

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