小説
□※それは恋です
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「…………?」
「なんだアントニオ、その容姿でシャイな奥手は似合わないぜ」
「茶化すな虎徹、外見で人を判断するな」
「んで?…遂に男に走ったのかぁ?」
「…バーナビーと噂のお前に言われたくはないな。」
飲みの席で話していたのはアントニオ。
昔から仲良く、親友やら云々というよりかは腐れ縁という称号がぴったりのパートナー。
俺がふと振り向くと少し距離のあるテーブルに座っているキースと目があった。
彼は慌ててすぐにイワンとの話に夢中になった"振り"をしていたがあんな天然に隠せるはずがないのだ。
俺には丸わかりで見ているこっちがむず痒い位だった。
キースはアントニオのことが好きだ、多分というより好きに違いない。
コイツも狙ってる女(言わずもがなだろうが。)が彼氏ができたとかなんとかの噂でへこんでキースに走った。
でもキースにも想い人がいるのを知ってお互いに手が出せないってとこだろ。
アイツもアントニオが狙ってる女が誰かくらい知ってんだろうな。
…学生に戻った気分だがこういうのには茶々をいれたくなる性分だ。
お互いに好きなのかどうかは分からないが勘違いの早とちりでこんな状況になってるに違いない。
バニーがうざがるほどのベタベタな恋愛相談もやめてほしいとこだ。
とばっちりをうけるのは俺なんだからなぁ…
天然がするヤキモチ。
あーあ。もう少し友達選ばしてくれよ神様。
「虎徹さん、イワンが吐きそうみたいですよ。」
「はぁ?お前処理してやれよ」
「なんでイワンなんかの汚物処理しなくちゃダメなんです?」
つかお前イワンの後輩だろうがっつの。
「折紙くん、お手洗いにいくかい?」
「あ、スカイハイさん、ごめんなさいです…進まれたら断れなくって…う…」
「ほら!掴まるんだ!」
キースはイワンを抱き抱えてお手洗いに消えたが面白くなさそうなアントニオをみて俺たちはまたため息をついた。
「バニー、帰るか?」
「帰りたいです。」
「つーことでアントニオはお幸せになるよう頑張れよ〜」
うるさい、と聞こえたが無視して踵を返した。
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