BLEACH 死神篇(仮)

□第1話 The beautiful white encounter
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目を見開いた椿の目線に合わせるように屈むと、青年はそのまま椿の右手をとった。


掌の雪を彼女の掌に移すと、椿の皮膚に触れるか触れないかのうちに、雪はたちまち淡く溶けて水滴になってしまった。



…地面から掬われた、ほら、たったこれだけの事なのに雪は死んでしまった。



一瞬のうちに彼の言わんとすることを悟った椿は、筋が白く浮き出るほどぎゅっと拳を握り、滴を握り締めた。顎を上げて空を仰ぐ自分が、ひどく穢れたもののように思えた。



「なぜ、」


自分でも驚くほど乾いた声だった。


ぽたり、ぽたりと、融解した雪が彼女の細い手首を伝って地面に垂れる。


「なぜ、こんなことに…。」


透明な滴に濡れた右手と対照的に、だらりと力なく下された左手は生々しく血に染まっていた。


「椿さん…」


斬魄刀の柄にこびりついた血を懐紙で拭いながら、彼は腰を伸ばした。



キラリキラリと雪は降り積もる。


「この輝きに飲まれてしまえたら……二度と戻らなくてよかったらいいのに。」


それだけ、精一杯の願いです、と、力なく笑って薄く開いた白い唇。
でも本当は喉が裂けるほど叫びたかった。


「強くなって、」


ふいに雪に濡れた椿の冷たい右手をとって、彼はそっとそれに唇をよせる。


「いつか、知ればいい。」


眦の上がった切れ長の瞳に浮かんだもう一つの煌めきが、透明な軌跡を残して雪白の頬を滑り落ちる。
半ば開いた唇がわずかに動いたが、言葉が発せられることはなかった。


「ほかの誰も知り得ることのできない境地に、立てばいい。」


徐々に光の薄れていく瞳を覗き込むようにして、青年は拭い終わった斬魄刀を持ち主の柄に納めた。



「誰も認めなくても、信じればいい。」



雪の中にがくりと膝をついて気を失った身体をふわりと抱き上げると、青年は彼女の額にかかった後れ毛をかき上げた。






…the beautiful white encounter





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