「月曜日は雨」より、あちこち歪めて抜粋したサンプルです。
私はウィリアム・T・スピアーズ。死神派遣協会の規律を体現する、歩くルールブックと称される死神です。
死神図書館には、伝説の死神と謳われたお方の彫像が飾られています。現役の協会員は規律違反を繰り返すクズどもばかりですが、とうに引退なさったこのお方は別です。いえ、このお方なら、たいていの無理は道理に変えておしまいになります。それだけの力も、それだけの権利も、持っておいでです。
グレル・サトクリフには、スーツの上からでさえ触れられることはおぞましいですが、あのお方なら……あのお方の細く長い指で、黒い爪で、撫でられたとしたら。私はどうなってしまうのでしょう。
わかっています。あのお方は今は葬儀屋。厳密な意味では、伝説と謳われた死神は、もはやどこにも存在しません。それでも――――
「好きだった男の目の前で、小生にこぉんなコトをされている……小生の腕の中でウィルくんのことを考えるきみを、グチャグチャにする……ゾクゾクするよぉお」
「いやん。こんな爽やかな朝なのに、ヤル気メーターMAXなんだからッ」
「ウィルくん、あ〜ん、ってしてごらぁん」
「お、お戯れはご勘弁ください……うっ!……ぐ、ぅ……」
「ヒヒッ、もっと奥まで咥え込めるよねぇえ〜」
「く……っ」
呼吸さえ押し殺して、私は自分の手で己の体液を搾出しました。
そもそも、私は私です。どうにもなりはしません。私は、下品で無能なグレル・サトクリフなどとは違うのです。
そして、あのお方自身、既に「葬儀屋」という別の存在に成り果てていらっしゃる。私が畏敬の念を抱く対象では、ありません。
★あくまでサンプルDEATH★