パラレル〜現役の「彼」がグレルの上司だったら〜

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現役テイカー×新米グレル 自己満足オリジナルもどき小説




その日、グレルは上司の部屋に呼び出された。


「失礼します」


中に入ると、見慣れない花瓶が目に入った。
あの時、床に落として割れた花瓶の代わりなのだろう。


――いけない。


思い出すまいとしていても、どうしても先日の出来事を思い出してしまう。


「管理課に異動願いを出したそうだな」


奥の椅子に座る男に正面から見据えられると、ますます記憶が鮮明によみがえってきて、グレルは目を逸らす。


「もう外回りなんてたくさんヨ。何が起きるか、わからないし…」

「俺と一緒でも、か」

「……はい」

銀の髪をたなびかせるグレルの上司は、この若さで管理官の地位を得るほどの敏腕だ。事務処理や管理業務だけでなく、実技評価トリプルAのグレルでさえ、赤子同然にねじ伏せてしまうほどの「力」までも兼ね備えている。

彼を見ていると、自分が矮小きわまりない存在に感じて、モヤモヤした気持ちになる。

そのうえに、先日の件だ。意識すまいという方が無理というものだろう。


「着いて来い。お前に見せたいものがある」

「え…あの、まだ今日のノルマが終わってな…」


有無を言わせず腕を掴まれ、死神の能力で空間を抜ける。


「ここは……」

グレルが初めて人間界に来た時に降り立った、丘の上だった。

そこからは、街の灯りが一望できる。文明の発達とやらのため、都市部では灯りが増えた。宝石箱をひっくり返したように、とまではいかなくても、その場所が「夜景スポット」なのは確かであった。


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