精霊図書館(分館)
□リクエスト小説(過去作)
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思えばあの時、あんなことを思わなければ、こんなことにはならなかっただろう・・・。
こんなことには・・・。
ある日、澪はリィズに対し、とある質問をした。
澪「そういえば、リィズは風の精霊なんだよな?」
リ「うん、そうだよ。でも、それがどうかしたの?」
澪「いや、いつも精霊の力を借りたりしているが、それは全てちゃんとした形のないもの・・・だとしたら実体のあるリィズから力を借りた場合、どうなるのかと思ってな。」
リ「そういえばそうだね〜。いつも私が力を貸す時は、スペカを使ったり魔力を移すだけだもんね。」
澪「ああ。他の精霊だったら実体がないから、そのまま身体の中に入って来る。」
リ「だったら・・・試してみる?」
これが不運の始まりだった。
リィズの同意があったため、実際にやってみたのだが………。
澪?「まさかこうなるなんて・・・。」
そこには、薄緑色の綺麗な長髪の女性が立っていた。
澪とリィズの姿は無くなり、代わりにこの女性・・・意味するところはただ一つ。
澪?「なんで女になるのよ〜!?」
リ(あははっ、びっくりだね〜。しかも口調まで変わるなんて。)
澪?「笑い事じゃないわよ!」
リィズを身体に取り込むという行為は、『融合』ということになるらしい。
容姿は、リィズを大きくして羽を取っただけに近く、口調はクールな女性といった感じだ。
もちろん『澪』の頃よりも口数は増えている。
澪?「まずはこれをなんとかしなくちゃね。」
リ(でもなんか、自力じゃ元に戻れなそうだよ?)
澪「そうね。でもパチュリーに相談するのは恥ずかし過ぎるわ。」
それに普段からお世話になりすぎているという事もあって、さらに相談しにくい。
澪?「そういえば・・・この間の宴会で、永遠亭とやらの医者に会ったわね。」
リ(永琳、だっけ?兎に角行ってみようよ。私との融合で、風精の力は使えるはずだし。)
宴会での出会いも、無駄ではなかったようだ。
曖昧な記憶と風精の探知を頼りに、永遠亭へと向かう澪(女体化)であった。
なんとか永遠亭へとたどり着いた澪は、僅かな緊張と共にドアに手を掛けた。
澪?「失礼するわ。永琳に用があって来たのだけれど・・・。」
鈴「はい、師匠に用ですか?わかりました、しばらくお待ち頂けますか?」
対応してきたのは鈴仙だった。
宴会では会っていたはずだが、流石にこの姿では気が付いてはくれなかった。
まぁ、気付かれても困るが・・・。
永「お待たせしました。とりあえず立ち話もあれですし、私のレボで話を聞くとしましょうか。」
その申し出はこちらにとっても好都合なので、大人しく従った。
永「それでどんな用件かしら、澪?」
澪?「よくわかったわね?こんな姿なのに。」
永「ふふっ、ただ何となくそんな気がしただけよ。用事というのは、その姿の事でしょう?なら問題はないわ。」
澪?「問題ないのはわかっているわ。私は元に戻る方法を聞きに来ただけよ。」
永「口調まで変わるなんて、興味深いわね。元に戻るのは簡単よ。時間が経てば元に戻るから。」
澪?「それだけ?ならよかったわ、ありがと。それじゃ帰るわね。」
永「あら、せっかくなのだからゆっくりしていきなさい。ちょうど夕御飯くらいの時間だし。」
澪?「それもそうね、お言葉に甘えてゆっくりとさせて貰うわ。」
しばらくゆっくりさせて貰う事になり、永琳と二人で居間へと向かう。
鈴「あれ、さっきの。どうされたんですか?」
永「彼女は『澪(みお)』という私の知り合いよ。今日一日泊まっていく事になったから、よろしくね。」
あれ?今、名前が『みお』になってなかったか?それに、泊まる?
み「ちょっ、永琳!?」
永「どうせ元に戻るまで帰れないでしょ。だったら別にいいじゃない。」
どうやら拒否権は存在しないようで、なかば強制的に泊まることになった。