オリジナル
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―李空Side―
情報室と思われる場所にきて、そこに置かれていたPCを覗き込む。
―電源は入っているようだ。
余計な時間を使わなくて良い。
早速パスワード等を入力して消しにかかった。
「…完了、っと」
数分後、情報は全て抹消。
復元されないように細工もしたし、これで大丈夫だろう。
「……」
…これから、どうしよう。
一応、赤石の援護にまわった方がやはり良いだろうか。
数分間悩みに悩み、援護にまわることにした。
早く終わるに越したことはないし、万が一怪我でも……
「…って、何想ってんだ」
心配と不安。
両方が混ざりあった複雑な感情を渦巻かせながら、赤石がいるであろう場所へとむかった。
組長室に向かって見つからないように注意しながら小走りしていると、突き当りの右の部屋から気配が感じられた。
雑魚じゃない、強い気配。
走りを止めて、右へ曲がる。
気配を殺して少しだけ開いた扉から中を除く。
「……え、」
扉を全開にまで開けて、中に入る。
その強い気配を発している―、赤石に駆け寄った。
「な、に、してんだよっ」
「…お前、」
部屋には大勢の屍。
そして、赤石。
その赤石は腕と脚から血を流していた。
「お前が、やられるなんてっ、」
「…は、俺も…人間だ」
息が辛そうで、途切れ途切れだ。
「傷見せろっ!」
よく見える位置に置いて、懐から緊急の小さな手当て道具を出す。
「い、つも…持ち歩いてんのかよ…?」
「ああ」
それから赤石は喋らなくなって、俺は黙々と手を動かした。
「…終わった」
止血できた傷の箇所を見て、安堵の息を吐いた。
「…てめぇなんざに世話になるとはな」
「礼くらい言えないのかよ」
赤石の言葉にむかっときて、すかさず言い返す。
赤石は俺をちらりと見ると立ち上がった。
もうすでに息は整っていた。
「…この借りはぜってぇ返す」
「っあ、おいまだ動いちゃ…!」
歩き出す赤石に、慌てて俺も立ち上がって追いかける。
「ずっと座ってるわけにもいかねぇだろ。…さっさと任務終わらすぞ」
「…了解、」
任務、という単語に我にかえる。
こんな所で休めるわけがない。
ここにずっと居たら更に傷が増えることも有り得る。
赤石の為に早く終わらせようだなんて、頭の隅で思う自分がいた。
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