オリジナル

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《お前が好きだからだよ》

…確かに、そう聞こえた。


俺は難聴でもないし、赤石の唇がそう形どったのだから本当にそう言ったのだと思う。


「…それって、」


驚いたように見れば、赤石は真剣な顔を崩し、へらっと口角を上げた。


「んなの嘘に決まってんだろ?真に受けんなよ」


な…っ!
う、嘘!?


「だ、だれが真に受るか!馬鹿野郎!!」


べー、と舌を出し、俺はその場を走り去った。

旧校舎を出て森を走り、少ししたところで立ち止まる。


「ハァ、ハッ 」


鼓動が早いのは、走った所為。
顔が赤いのは、暑い所為。
じゃあ、哀しく思っているこの感情は何なのか。


「…っ」


ちくりと胸の奥が痛んだ。




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