オリジナル

□05
1ページ/4ページ





「どーぞ」


ドアを戒が開けて、中に入るよう促す。
にやにやと笑みを浮かべながら。


「……」


ゆっくりと中に足を踏み入れる。
後ろでドアが閉まる音がした。


「この部屋にいれたのはリアが初めてなんだぜ?」

「…そう」

「まあ適当に座れ」


そう言葉を掛けられて、俺はおとなしく近くのソファに座った。

全体的にモノクロで統一された部屋。
綺麗に片付いていて、最低限必要な物しかない、生活感の無い部屋。

モデルルームみたいだと思った。

そして、戒が綺麗に整頓してるなんて思いもしなくてちょっと意外だった。


「ほらよ」


黒いガラステーブルに置かれたマグカップ。


「…?」

「紅茶。砂糖は3杯」


…何で俺が紅茶好きで砂糖はいつも3杯って知ってんだ…?
……まさかストーカーか…?


「多すぎたか?リアは甘党だと思ったんだけど」


…なんだこいつ。
鋭いっていうか…、まあ…ストーカーじゃなくて安心だ。


「…甘党だ」


そう言ってから俺はカップを口に近づける。

が、すぐカップを口から遠ざけた。


「…何も入れてないよな?」

「…さあ?」


一応気になって訊いてみれば、戒は笑って曖昧な答えを口にした。

…俺、遊ばれてんのか?


少しイラだって、俺はカップの紅茶を流し込んだ。

ちょっと熱かったけど、美味い。

今まで飲んだ中で、悔しいけど一番だと思う。


「アールグレイ?」

「あたり」


いつも俺が飲む紅茶も同じアールグレイなのに、何が違うのか。


「お前紅茶淹れるの巧いんだな」

「どーいたしまして」


口角を上げて戒が笑う。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ