オリジナル

□03
1ページ/6ページ





食堂では歓声が響いていた。


「「何で早瀬様が!?」」


顔の良い牙は、危険人物とは言われているものの当たり前のように食堂に入った瞬間に歓喜の言葉に包まれた。

隣の俺には罵声が浴びせられる。


「李空、殺っていい?」

「だめ。俺は大丈夫だから気にすんな」


…とは言ったものの、はっきり言って殴りたい。
…でも、抑えなければ。
こんな所で暴れたらこれから先どうなるか。


「…早く食べよ」


俺の一言で運ばれた食事をそれぞれ食べ出した時。


「…あの、さ」


橘が口を開いた。


「なに?」

「その、早瀬と李空って知り合いなのか?
…あと…聞きにくかったんだけど、その口調が地?」

「…俺も…気になってた…」


口調?

あぁ…俺の馬鹿野郎。
牙にペース乱されて敬語を忘れるなんて。


「牙とは知り合いで…口調は、その、第一印象は良くないと…みたいな感じで…」


自分でも何を言っているかサッパリだが、別段二人は気にかけていないようだ。


「やっぱり?でも初めはなんか敬語馴染んでるからそれが地かと思った」


…馴染んでる、か。
組織ん時は敬語だから身についてきたのかもしれない。


ん?……あ、あれ?
今日って任務の日じゃなかったか?


「ちょっとトイレ」


一言告げ、即座に席を立つ。
トイレとは言ったものの、本当は電話する為だ。

足早に食堂から出て直ぐ近くにある階段を駆け上がる。

幾らか上ったところで、目の前にドアが見えた。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ