オリジナル
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このまま教室に帰るのはなんとなく嫌で、時間を潰そうと屋上に向かった。
ドアを開ければ、心地いい風が横をすり抜けていく。
空を見上げてから視線を落とし、思わず溜め息が出た。
「…なんで居るんですか」
「息抜きという名のサボり」
屋上には先客が居た。
それは生徒会会長の戒だった。
会長がこんなので良いのかと思うが口には出さず、柵に寄り掛かって座った。
「李空もサボり?」
「何で名前呼びなんですか」
「前に呼んでやるって言ったろ」
いくらいってもきかないだろうと思い、また溜め息が漏れた。
「…俺もサボりです」
「お前見た目は真面目そうなのにな」
「人は外見で判断しちゃいけませんよ」
低く横で笑う戒に、俺は呆れ顔をしながらも心では酷く落ち着いていた。
この空間が心地いいと。
赤石によって乱された心の波はおさまり、俺も自然と微笑していた。
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