オリジナル

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戒がフェンスに寄りかかる。
俺は少し離れて同じように座った。


「お前、何でここに来た」

「電話をしにです」

「誰に」

「別に誰でもいいじゃないですか」

「お前、何かやってんの」


探るような目を向けてくる。
それは確実に先程俺が行ったピッキングのことをさしていた。

暗殺者、とか答えて欲しいのか。
裏の奴だと。
…口が裂けても言えないな。


「何も」

「ピッキング、誰に習った?」

「習ってませんよ。…あの」

「何だ」

「今度はこっちが質問していいですか?」


そろそろ質問責めには飽きてきた。
疲れるし、俺に利点はない。


「話す事ねぇ、って言ってなかったか?」

「気が変わったんです」

「…ま、いいけど」

「…食堂に来た、あの副会長は」

「俺は“戒”で弘人は“副会長”ねえ…」


口角を上げ、にやりと妖しく笑った。


「…間違えました。“会長”」


わざと会長を強調して言う。
それに戒は眉間に皺を寄せた。


「“戒”でいい」


何なんだこいつは。
変な奴だな…。


「俺も“李空”って呼んでやるよ」

「結構です。会長」

「……クッ、クク」


何かいきなり笑い出したんだけど。
喉の奥で笑う戒に呆れる。
どこかで頭でも打ったんじゃないのか…。




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