オリジナル

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屋上へと続くそのドアにあどうやら鍵がかかっているようだった。

溜め息を吐きながら周りに監視カメラが無いか確認してポケットから針金を取り出す。
少し曲げ、それを鍵穴に差し込んだ。

数秒後、金属音と共にロックは外された。


「…ん?」


一歩踏み出して足を止める。
…誰か、居る。
ドア越しで気配が分からなかったなんて…。


「…誰ですか?」


言ってから、5メートルくらいの高さのある場所を見上げる。


「…ふうん」


綺麗に着地した男。
その男には、見覚えがある。


「か、い…っ」


なんでこんな所に。
驚きと共にここに来たことを今更後悔した。



「なんだ、転校生じゃん。穂積 李空だったか?」

「…はい」


帰りたいものすごく帰りたい。
一秒でも早くこの場から消えたい。


「黒髪黒眼の平凡野郎がピッキング、か…」


…まさに最悪、としか言い様がない。


「気配探んのも馴れてるっぽいし」


…ここは逃げた方が得策かもしれない。
後日いろいろ言ってくるだろうが、今がよければ良い。


俺は踵を返したところで―
――腕を掴まれた。


「逃げんな」

「…何か用ですか」

「話」

「俺は話す事はありません」

「俺はある」


…今日は厄日だな。





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