一次小説

□親衛隊嫌われ物語
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『羨望』

告白できる人間は羨ましい、全ての親衛隊を束ねる親衛隊総代の俺には出来ないから。

親衛隊は生徒会長個人のものや、副会長のものなどがあり。
親衛隊総代はその上で親衛隊長から選出され、大抵が生徒会長の親衛隊長が選ばれる。

そして親衛隊綱領・親衛隊員は自ら親衛対象に告白してはならない、とある。

親衛隊総代である自分が破る訳にもいかないし、会長の親衛隊隊長の地位は追われるだろう。

俺は親衛隊の中でも、176cmという高身長、さらに顔も女顔って訳じゃない。
男らしい顔立ちだ。

だから抱かれたいランキングNO1の会長の親衛隊の中じゃ浮いていた。

だって会長の親衛隊員は、小柄で女顔の可愛らしい、少年と言って良い人間が大半を構成していたからだ。

だから・・・俺は親衛隊の中でトントン拍子に出世していった。
俺は会長の好みから大きく外れていたから。
安心して会長との接点が多くなる親衛隊幹部も任せられると、先代親衛隊隊長は思ったみたいだった。

そしてそれは大当たりだった。




会長は俺が生徒会室に、親衛隊隊長着任の挨拶に言った時に言ったのだ。

『こんなガタイ良い奴が俺の新しい親衛隊隊長かよっ』

その驚愕の声に、胸が軋む・・・俺も貴方に思われる人間でありたかった。
そしてその会長の声に、下半身ゆるい会計の羽場 海都が場を軋むようなことを言ったのだ。

『これじゃあ会長がネコできちゃうねー』と。
瞬間的に生徒会室の空気が凍って、会長は眉を寄せた。

『ふざけんな、海都・・・俺がネコ?寝言は寝てから言え・・・
てめぇも俺の親衛隊とか止めろよな・・・キモイし、ウゼェんだよ』

息が止まるかと思った。

目に止まって、夜の相手を務めたいなんて大それた事を思ってたわけじゃなかった。

ただ・・・会長が好きで、大好きだという俺の気持ちだけは、否定はしないと思っていた。
ただ単に役に立ちたかった。

俺の親衛隊とか止めろよな、ってそういう言葉だ。
俺の気持ちは全ていらないっていう言葉。

だから俺は思わず・・・とんでもない事を口走っていた。
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