Nobel
□本当の気持ち
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「敦…」
呼びかけて止めたのは、敦盛が一人ではなかったから。
目に飛び込んできたのは、将臣と何かを話している姿。
それだけなら、まだよかったんだけどね。
何、その顔。
頬を赤く染めちゃって…照れてんの?
…ダメだ、イライラする。
こんな感情、知らなくて良かったのに。
「何の話だい?」
「ヒ、ヒノエ…!?」
大きな瞳を、これでもかってほどに開いて。
それは突然声をかけられたから?
それとも、俺…だから?
「じゃ、俺は行くな。」
敦盛の肩をポンッと軽くたたくと、将臣は手をひらひらさせて何処かへと行ってしまった。
去り際に、俺の方をみてフッて笑ったのは何だ…?
でも今はそんなの気にしてられない。
「…ね、大事な話があるんだけど」
「私に?」
「…他に誰がいるんだよ」
今、ここには俺とお前しかいないだろ?
…ま、そんな所も天然で可愛いんだけどね。
真っ直ぐに見つめて、漸くずっと疑問に思ってたことを口にした。
「お前はさ…、俺のことどう思ってんの?」
また大きな瞳が更に大きくなって。
一週間前の、あの時と同じ顔。
「私は…」
昔からの腐れ縁?
神子を守る八葉の仲間?
もう話もしたくない相手?
女たらし?
あ、なんか自分で言ってて凹んできた。
やっぱ最後のは無し!俺たらしじゃないし…
「…ヒノエ?」
本当の気持ちを聞きたい。
「嘘とか言わなくていいから。
何で敦盛は俺といるの?断れなかったから?」
「違う!…私は……」
またしばらくの沈黙。
お前のことだから、言葉を選んでるんだろ?
傷つけないようにとか考えてる?
自然と手に力が入って、きゅっと拳を握った。