Nobel

□本当の気持ち
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***


「はぁ…」

今日何度目の溜息だろ?
アイツのことで頭がいっぱい。

断れないで居るだけなら、このまま縛っておくわけにもいかないよな。

どんなに考えても、気持ちは本人にしか分からない。


「やっぱ、聞くしかないか」


「何をですか?」

声がした方へ振り返れば、黒い衣を身に纏った…俺が今一番会いたくない奴が微笑んでいた。

「盗み聞きかい?」

「いやだなぁ、盗み聞きだなんて。僕はただ可愛い甥っ子を心配しているだけですよ」

「あんたに心配される筋合いはないね。大きなお世話だ。」

「おや、敦盛くんに気持ちを聞くのが怖いんですか?」

「…っ!?」

「ふふ、図星ですか」

いや、笑い事じゃねぇんだけど…。
てかその笑顔胡散臭ぇ。

「…関係ないだろ」

「いつもの君はどこへ行ったんですか?会う人会う人、口説いていたというのに」

「ちょ、見境がないみたいな言い方すんなよ」

あれ、違うんですか?なんて涼しい顔して言いやがって。
その言葉、そっくりあんたに返すぜ!!

「…君は、普段の言動に問題があるから、悩まずに済むものにも悩まされるんですよ」

「うわ…あんたにだけは言われたくなかったぜ」


あーっ、もう女々しいのはやめだ!

「とにかく、おっさんは黙ってな」

そう言い残して、足早に敦盛の元へと向かった。



「…僕も随分な言われようですね。まぁ、吹っ切れたようですし、今日の所は大目にみてあげましょうか」
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