Nobel
□本当の気持ち
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「はぁ…」
今日何度目の溜息だろ?
アイツのことで頭がいっぱい。
断れないで居るだけなら、このまま縛っておくわけにもいかないよな。
どんなに考えても、気持ちは本人にしか分からない。
「やっぱ、聞くしかないか」
「何をですか?」
声がした方へ振り返れば、黒い衣を身に纏った…俺が今一番会いたくない奴が微笑んでいた。
「盗み聞きかい?」
「いやだなぁ、盗み聞きだなんて。僕はただ可愛い甥っ子を心配しているだけですよ」
「あんたに心配される筋合いはないね。大きなお世話だ。」
「おや、敦盛くんに気持ちを聞くのが怖いんですか?」
「…っ!?」
「ふふ、図星ですか」
いや、笑い事じゃねぇんだけど…。
てかその笑顔胡散臭ぇ。
「…関係ないだろ」
「いつもの君はどこへ行ったんですか?会う人会う人、口説いていたというのに」
「ちょ、見境がないみたいな言い方すんなよ」
あれ、違うんですか?なんて涼しい顔して言いやがって。
その言葉、そっくりあんたに返すぜ!!
「…君は、普段の言動に問題があるから、悩まずに済むものにも悩まされるんですよ」
「うわ…あんたにだけは言われたくなかったぜ」
あーっ、もう女々しいのはやめだ!
「とにかく、おっさんは黙ってな」
そう言い残して、足早に敦盛の元へと向かった。
「…僕も随分な言われようですね。まぁ、吹っ切れたようですし、今日の所は大目にみてあげましょうか」