Nobel

□本当の気持ち
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「……ずっと想っていたのは、私の方だ」










え?









「…だから、告白された時は驚いた。凄く嬉しかった。
…私のこの気持ちは、報われないものだと思っていた。間違った感情だと…」

言い終わる前に、勝手に体が動いて抱きしめてた。



「…本当に?」

「こんな時に嘘をついてどうするのだ」


…やば、心臓の音凄い。

でもそれは敦盛も同じみたいで。

鼓動が伝わってきて、なんだか気持ちいい。











「…あの、そろそろ離「嫌だ」


まだ離したくなくて、抱きしめている腕に更に力を込め、きつく抱きしめた。


「…苦…しぃ」
「あ、悪い…」

力を緩めると腕から抜け出し、そっと手を握られた。

「私にも聞きたいことがある」

「何だい?」



「何故…私を?」


「ん?」

「気を悪くしないで欲しいのだが…、
淑やかで、美しく皆が目に留まるヒトを追いかけていたと聞いた」

淑やかで美しい?
は?何の話…?

「…で?」

「私は誰かの代わり…ではないのか?」



開いた口がふさがらないってのは、こういう時に使うんだな、と頭の片隅で冷静に考えてしまった。

敦盛の表情が暗かった理由はそれか!
え、何、俺のせい?!

「…俺がお前を、誰かの身代わりなんかにするわけないだろ」

「………」

何でそんな泣きそうな顔してるの。

…気持ち、伝わってない?




“普段の言動に問題があるから、悩まずにすむことにも悩まされるんですよ”





不意にアイツの言葉が脳裏を駆け巡った。


どうしたら伝わる…?
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