君と僕の物語
□最終話
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さっきまでの戦いが嘘の様に晴れ晴れした空に澄んだ空気。
10年前の沢田綱吉達のおかげで世界は守られた。
それは自分的には不思議な曖昧な感情で、あのガキ共が……と思わずニヒルな笑みが溢れた。
少し平穏が戻ってくると思うと気が楽になる。
暗殺者な自分が平穏と言うのも少し可笑しい気がするが………。
ずっと忙しくて行けなかった彼女の墓に行く事にした。
白蘭の戦いのために死んだ者達は皆生き返るらしい。もしかしたら彼奴も…と密かな願いもかけて。
彼女の棺は閉まっていた。
スクアーロの願いは届かなかったのか。
棺の上に彼女の好きだった花をのせて手を合わせ、目を閉じる。
ビュー…──
あの遠い昔のような……あの爽やかな風が吹いた。
そっと目を開けると棺の上の花は無くなっていた。
その代わりに
「また会えた。」
銀髪の彼女が棺の前に立っていた。
「私、生きているの。」
そう哀しそうに呟いた彼女はとても儚げで今にも消えてしまいそうで………
そんな不安定な彼女を思いっきり抱き締めた…───。
存在を確かめるように。
目には大きな水溜まり。
「もう離さねぇ……!!」
譬(たとえ)、誰かが君と僕を引き裂こうとしても。
****
(第三者視点)
そして彼女達の物語はまた始まった。
僕が書いたのは彼女が生きたほんの少しの場面でしかない。
だから勘違いしないで欲しい。
彼女は幸せだった。
愛する者の傍にいられるだけで。
今、彼女の人生…この物語(伝記)を書いた僕でさえ彼と彼女はその翌日どうなったか分からない。
感情1つで全て変わってしまうから。
それくらい“未来”というものは不安定なんだ。
あぁ僕はコレを書いているうちに彼女を好きになってしまったらしい。
けれどそれは、どんな“未来”であろうとも想いは届かない。
だってもう彼女は生きていないのだから……。
彼女は最期幸せだったのか?
それは彼女にしか分からない。
君と僕の物語【END】