君と僕の物語
□描
1ページ/1ページ
白蘭様がいうには
私は“異端者”らしい。
闇の中でも確かな存在感を出す銀色に恋をした。
偶然見てから、ずっと想い続けてきた彼に再会したのは彼がボンゴレ本部に書類を届けに来た時。
私はメイドとして働いていた。ボンゴレに勤めたのもヴァリアーにもしかしたら会えるかも知れないという願望からだった。
けれどもメイドでは中々見ることすら出来ない。だから数年もかけて絶対的な信頼を勝ち取って割りとお偉いさんの専属メイドまで上り詰めた。
やっと彼を見る事を許されて有頂天になっていたが、現実はメイドである私なんかを視界にいれる事すらしなかった。
けれども私は頑張った。
彼にわざとぶつかってみたり、目の前で転けてみたり……
「お前…いつもの奴か。」
やっと顔を覚えて貰うのに時間はそんなにかかんなかった。
それからは自己紹介して話すぐらいまでは仲良くなった。
その後彼から告白され付き合った。
…───幸せだった。
でも彼女がいた。リラさん。
噂には聞いていた。
“スクアーロの幼なじみ”
“ザンザスに対する忠誠心”
“ボンゴレ一の美しさ”
実際スクアーロの口からも何回も聞いていた。大切な相棒がいると。
彼が彼女の話をしている時、本人は気づいてないようだがとても穏やかな表情をしていた。
きっとあの顔をさせれるのはリラさんじゃないといけないんだと改めて痛感した。
だからこそ彼から大事にされているリラに会ってみたかった。
偶然、時は重なりスクアーロがリラに会わせたいと言って来た。
会った彼女は予想よりもはるかに美しかった。
そして私は気づいてしまった。
リラも彼を好きなことに………。
多分、私よりもずっと長い間彼の事を見てきて全てを受け入れて好きなんだろう。
でも彼が好きなのは私。
あの人じゃないのよ。私なの。
何度も自分に言い聞かせたが結局不安は消せなかった。
彼に、スクアーロに自分以外の女と喋るのは嫌だ、と言うと彼はリラとの関係を絶つのは無理だと断られた。
だからあの悪魔……白蘭に助けを求めてしまった。
人生で最初で最後の判断ミス。
裏切り者にさせる事は出来たが、余計に彼と彼女を近づけてしまった。
部屋が一緒になるなんて思わなかったんだもの。
私は怒りに我を忘れ、自分こそボンゴレを裏切る行為をしてしまった。
そして……リラは死んだ。
彼の哀しむ顔を見たのは初めてだった。
何故かミルフィオーレとボンゴレとの会合の時に呼ばれた。
そしてすぐに理由(ワケ)が分かった。
白蘭は全ての責任を私に負わせた。最初からこのつもりだったのかこの男は。
まんまと策略にハマってしまった。
けれど最後まで彼は私だけを愛してくれたんだから
彼女を間接的にでも殺した事に後悔はしていない。
……けれども1つだけ心残りなのは、“異端者”という言葉だった。
何故だかは最後まで白蘭は教えてくれなかったが多分それは私にとっても彼にとっても大切な事なんだと思う。
あぁ、長いようにも思えるが短い間回想していたらしい。
これが走馬灯というものだろうか?
意識が飛ぶ寸前。
「スクアーロ、大好きだよ。」
貴方の大切な人を奪ってごめんなさい。
そっと呟いた。
【りな】