ギャグ漫画日和

□衝動
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衝動
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下界、人間の住む世界へと降り立った日。大
王様の命令で地上へ彷徨う魂達を捜しに来た
のだ。渇いた空気が頬を掠める、静かな音を
たてるかれた木には生命を感じられなかった


「この辺りか…」

肌に感じた魂に辺りを歩き回る。次第に家ら
しきものがあちこちに見え始め途端に喉の奥
から溢れんばかりの憎悪が湧きだした。人間
など、嫌いだ…、大王様に初めてお会いした
時にも放った言葉。化物を見ると途端にヒト
が変わる。所詮その程度の生物なのだからし
ょうがないだろうが…。

「動くな」

不意に後方から聞こえてきた声に振り返る。
女が一人刀の刃先を向けて睨んでいる。

「なんですか…」
「お前…その頭から生えてんのはなんだ」

刃先で示す女に気づけば襲いかかっていた。
白くどこか目に毒な肌に爪を食い込ませ、首
を絞める。

「ぐっ…っう…!!」
「どうです、苦しいですか」

どこか冷静な自分に怯える。こんなことをし
たってどうにもならないのに。分かっていて
も手が出ると言う事は、恐らく衝動なのだろ
う。

「っお、まえ…」

刀を振りまわす女の手首を握ると手からスル
リと刀が落ちる。やけに冷めた自分がいる、
地面へと倒して喉元へと牙を食い込ませると
女は次第に怯えた声をあげ始めた。そんなも
のどうだっていい。体中が何故だか暑く火照
っている。これが鬼である自分の衝動なのだ
ろう。自分でも止められない、なら誰が止め
る?閻魔様…無理だ、ここにはいない。それ
なら……しょうがないだろう。


「ふっ…うぁ…やめっ!!」


暴れる女の首元に歯を立てると甲高い声が響
いた。誰もいないこの地に助けを求める女の
姿など哀れなモノだ。彩られた着物を剥いで
白い四肢に血痕を残していく。暫くは餌にな
っていてもらうため、別に構わないだろう。
向こうから来たのだから…。


衝動
止められないものはしょうがない






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