【 恋心ヴィーゲンリート 】
□【冒険の記録1:出航準備】
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純粋な赤色じゃない、私の“カメリア色”の髪…。
私はこの色が、この髪が、好きじゃない頃があった。
理由は忘れてしまったけれど…けど、何となく好きじゃなかった。
でも、嫌いにもならなかった。
ううん、なれなかったんだ。
“あの人”に出会って、ソレはさらに強くなった…。
その頃の事を、今でも鮮明に覚えている。
その人の髪は、私と違って綺麗な、“本当に赤い髪”だった。
赤い髪が、とても良く似合う男の人だった。
大人なのに、何処(どこ)か子供っぽくて、純粋で…。
でもソレは、大人になっていく人の殆どが、“捨てていってしまうもの”だったから、反対に眩しく感じた。
暖かかった。
陽だまりのように…。
安心した。
静かに眠るように…。
心地良かった。
揺り籠(かご)に揺られるように…。
大好きで、ずっと一緒に居た“かった”…。
海兵1「いたぞ!
アッチだーーー!」
海兵2「囲め囲めぇ!
捕まえろーーー!」
?「はぁ、はぁ、はぁ…!」
「父親だったら」と…何度願った事だろうか―…。
【冒険の記録1:出航準備】 ―母なる海が誘うもの―
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