【 恋心ヴィーゲンリート 】

□【冒険の記録0:プロローグ】
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平和で豊かな島国を築いてきた、ポセイドンの一族。

だがある時、“ある事件”が起こったらしい。


王族で、次期後継者である王女から、赤髪の…いや、正確には“紅色の髪をした姫君”が生まれたらしい。


ソレの何処(どこ)に問題があるのかって?

うむ、答えはシンプルだ。

そして同時に…我々には少し理解し難(がた)いところがある。



姫君の髪が…“紅(くれない)色”であった事、それと右腕に“刻印”があった事に問題があったのだ。



当時、島には赤系の色をした髪の男性がいなかった。

勿論、王族の祖先にも、だ。

つまり、この姫君の父親は“島の外の住民”である、という事が、その髪の色によって示されているのだ。


そして、右腕に広がる“刻印”…。



コレは、島国どころか…世界中を驚かせる程の出来事。

私も耳にした事がある。


ポセイドンの王族らにかかっている…“呪い”というモノだ。

その呪いは、誰もが恐れる“破滅”の名を背負っている。



そして、こう噂されているのだ…。



―ポセイドンの王族と、その一族以外の者との間に生まれし子は、破滅の名の下に、やがて世界を終焉(しゅうえん)に導くだろう―



…と。





―ポセイドンの王族は呪われている―



その昔、報われない想いを抱いた者がいた。

その者の強き怨念が、ポセイドンの王族を標的とし、その血を伝って未(いま)だに生きているらしい…。


その呪いは、“禁忌”を犯した者の子に現れる。

禁忌の子の証として、右腕には禍々しい刻印が印されるのだ…。

実際その姫君にも、ソレに値(あたい)するものがあった。


禁忌の子は、呪いの闇に耐えられず、やがてソレに飲まれてしまう。

そして我を忘れてしまい、世界を破滅させるまで暴走してしまうのだ…。

恐ろしい光景が目に浮かぶ。



禁忌の子が生まれた事は、自然に世界中に響き渡ってきた。

もはや世界政府も、放ってはおかないだろう…。


しかし、私は思う―。

あの姫君は憐(あわ)れなのかもしれない。

生まれて来てはいけなかった恐ろしい存在だ、と世界が口を揃えて言うのだから。


姫君はどうなるのだろう…。

その子を産んだ母親も、当然問題となる。



世界は一体、何を望むのか…。


とりあえず私は、今日(こんにち)までの冒険を、ココに綴(つづ)っておこう―…。




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