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□飴玉
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「つがるーっ!!!!」

その元気な呼び掛けに、行儀良く座っていた津軽は後ろを振り向いた。

「どうしたの?サイケ」

津軽は臨也から渡された楽譜を床に置き、サイケに問い掛ける。

その時の、優しく微笑んだ津軽はまるで天使そのもの。
皆さんもお気づきだろうが、津軽は天使なのである。
正に救世主。この世の天使とは彼のこと。
これは、かなりどうでも良いが、管理人の余談である。

サイケは勢いよく津軽に飛び付く。
津軽はそれをよろけながらも受け止め、優しくサイケを抱き締めた。

「で、どうしたの?何か嬉しいことあった、?」

当初の目的を、サイケはすっかり忘れていたのか、津軽にそう聞かれ、忘れてた!と大きな声を出した。

「これ、シズちゃんがくれたの!」

サイケは自分の真っ白なコートのポケットから、なにかを探りながらあさる。
津軽はいまだに頭にクエスチョンマークを掲げていると、 ばっ、とサイケの手が突き出される。

そこには、四つの小さな飴玉。
ピンク、水色、濃いピンク、黄色の四色の飴玉が、サイケの手の中に収まっていた。
おそらく静雄が、サイケと津軽、デリックと日々也の分をくれたのだろう。
サイケはこっちはデリちゃん達のぶん!、と言いながらポケットに再度しまいこんだ。
ただの飴玉なのに、光の反射なのだろうか。
飴玉はまるで宝石のように光輝いていた。

「津軽は水色ね!サイダー味だって!」

サイケはそう言いながら津軽に水色の飴玉を掌にのせる。
津軽はそれを受け取ると、光にかざして飴玉を覗き込む。
飴玉を食べたのが、今日初めてと言うわけでわなかったが、津軽はいつも、これを食べるときは、こんな行動をした。
しかし、食べないわけにもいかず、津軽は静雄にお礼を言いながらぱくりと口に放り込んだ。
その頃サイケは、とっくに飴を口に含んでおり、今は最初の二分の一に変わっていた。

「・・サイケはなんの飴?」

不意に名を呼ばれたサイケは、口をもごもごさせながら、いひよあひだよ、と答えた。
津軽はその答えにおかしそうに笑い、美味しいね、と優しく言った。

「ねー、津軽、俺もその味食べてみたいな!」


え、でもどうやって。


そう問う前に、口は塞がれていた。
サイケの唇によって。


ころり、と飴玉が移動する。

津軽の口内に、ふわりとイチゴの味がひろがった。

「っ・・サイケ、い、今・・なに?」

頬を真っ赤に染めた津軽が、あわあわと慌てながらサイケに聞く。

「・・嬉しくなかった?」

サイケにしては珍しい、臨也のような笑みを溢す。
それにいっそう顔を真っ赤にした津軽は、小さく、・・嬉しい、と呟いた。


「おいしいねぇ、津軽!」
「・・ん。」

飴玉
臨:俺達もやるー?
静:・・あほか。
日:デリック、飴は好きですか?
デ:日々也と同じなのが・・良い。

なんだかんだいって皆ラブラブなのです。

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