花は月に恋をする
□酔
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ちょうど互いの合格発表が同じだったので東京に来た平次を俺が泊めた日。
平次が何やら取り出した。
「おい、それって」
「二人とも無事合格した、祝杯や」
「たく、しょうがねぇな」
浮かれすぎだとは思いつつも結局、
日本酒を持ち込んだ平次と俺は酒盛りしてしまった。
俺は平次がいくら飲んでも顔色が変わらないことに業を煮やし、
家中の酒をかき集めた。
そして平次に対抗し調子にのって飲んでるうちに
俺は酔っ払ってしまったのだ。
新一がワインをグラスに注ごうとしたとき、平次はボトルを取り上げた。
「あかん工藤飲みすぎや」
「返せよお前はもっと飲んでるだろ」
「俺はええんやお前顔真っ赤やぞ」
服部は部屋連れてったるから肩貸せや、という。
どことなく心配そうな調子にも腹が立つ。
ちくしょう、けろっとした顔しやがって ‥酔っている人間の行動は予想が付かない。
俺は服部がワインを持っているのもお構いなしに
隣に座っていた服部をソファに押し倒した。
ワインが手から離れオレや服部の服を汚し瓶が絨毯の上に落ちた。
そして馬乗りになり思い切り脇をくすぐった。
「ぐは、ちょクク、工藤、やめいハハハ」
涙を流しながら笑っている。
笑えば血色も良くなるだろうかと思ったのだが、
平次の顔色に変化はない。
この色黒男め‥