花は月に恋をする

□秘密
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青空は高く白雲は流れすがすがしい風がふいていた。
本来なら三時間目の授業をしているはずの時間であるため校舎の外には自分を除いて誰もいない。
西の名探偵と呼ばれる改方学園二年生の服部平次は一人駅に向かって歩き出した。
数分前教室にいるときだった。
平次の携帯の着メロがなった。
「はい?もしもし」
「オレだ」
「なんや、くどーおまえから掛けるなんて珍しいやないの」
「まあな」
今日はほんまついとるわ。

「工藤、オレに逢いとーなったん?」
「バーロォ、んなわけあっか」
冗談の中にほんの少しの期待をこめた台詞はいつもの辛口で一蹴された。

新一はある事件について手伝ってほしいということだった。例の組織に関係する仮装パーティーへ、自分の変装をして潜り込んでほしいという。

「工藤の頼みならおれは何でもOKや」
すかさず答えると呆れたような新一の声が返ってきた。
「オメーって‥ちょっとは損得考えろよ」
「なんや、文句あるんやったらやめてもええねんで」
「おい!」
「冗談や」
やめる気があるはずもない。
新一は危険と隣り合わせの状況に挑もうとしている。
いつもは全てが終わったあとに話をきくだけだった。
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