君となら空も飛べる
□未来悟天ちゃんシリーズ
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「じゃじゃーん!ここがぼくのおうちだよっ」
体全体で感謝の気持ちを表したあと、動かなくなってしまったトランクスに、なにを思ったのか。
悟天は近くにある自分のすみかにトランクスを案内していた。
手をひかれたトランクスはなれないスキンシップにどぎまぎしていたので、何も言わずついてきた。
木でできているその家は本当に雨風をさえぎる
ためにだけあるらしく簡素なものだった。
中にあったのは簡易なベッドや椅子、テーブルで、壁には何かの肉や野草が干してあった。
きれいにしているようだが、人の気配がせず、窓もないそこは、この明るい少年の家にしては少々暗くさみしい気がした。
一つしかない椅子をトランクスにすすめ、悟天はベッドに腰掛ける。
「ここに、一人で?」
「うん、ぼくだけ」
悟天はえへへ、と笑う。
「だから、とらんくすが来てくれてぼくとってもうれしい」
自分より年若い子供がこんな辺鄙な場所に一人でいるなんて。
胸が詰まる気がした。
自分には母がいるし師もいたが、この少年はずっとここで一人ぼっちだったのだ。