君となら空も飛べる

□厄介な二人
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夏休みの、ある日今日も悟天はトランクスの家に遊びに来ていた。
毎日といっていいほど押し掛けるのでいつもおやつは悟天の分も用意されているほどだった。
夕暮れ時、二人はトランクスの部屋で思い思いに過ごしていた。

「おまえさ」
ソファに寝そべり氷菓を食べながら、トランクスがつぶやいた。
「何でいつもここに来るの」

テレビゲームをやりながら悟天は元気よく言った。

「んートランクス君のお部屋は涼しいし」

トランクスの眉がひそめられる。
「それだけかよ」

「ううん、違うよ、ゲームもいっぱいあるから!」
悟天の表情は輝いて一点の曇りもない。

「ぼく、トランクス君と遊ぶのだーい好きだよ!」
「たく…おまえはそういう奴だよ」
トランクスは肩をすくめる。

「え、なんかダメだった?」
悟天はきょとんと目を丸くする。
「ダメっていうか…うん、最低」
「えーっなにがー教えてよ〜」
悟天はコントローラーを投げ出し頬を膨らませてソファに寝そべるトランクスにすり寄ってくる。
トランクスはその視線を避けるように体を回転させた。
「フン、わかってない時点でもうダメなんだよ」

「マジうっとおしいから寄るな」
「えー」
「おまえとは遊んでやらない」
「えぇっ!」

悟天はトランクスが突然遊ばないといったので驚く。
「なんでーねえなんでーどーしてー」
悟天はしつこくトランクスの耳元で騒ぎ立て体を揺さぶる。
「うるさい」
「ねーなんでーやだよー教えてよー」


「…これでも食ってろ」「…モゴ」
あまりのうるささに手に持っていた氷菓を悟天の開かれた口に突っ込む。

食べかけのソーダアイスは決して大きくない悟天の口をふさぎ静かにした。
悟天はそのまま棒を自分で掴み直し氷菓を舐める。
「ん‥」
口端から溶けた蜜が流れ落ちるのをトランクスはじっと見つめていた。

「おいしかった」
悟天はすっかり食べ終わってしまう。

「って、食わせといてなんだけど、おまえそれ人の食いかけだぞ!よく食えるな〜汚いだろ」

「いや〜ぼくもさすがに他の人の食べかけは嫌だけど…トランクス君のだしいっかなーと思って」
トランクスは目を見張る。

「ふ〜ん、そうかよ」

「悟天」
「なに?」

「しょうがないから、遊びに来てもいいぞ」

「ほんとに!?やったぁ」
悟天は手を叩き喜ぶ。

ふと外を見ると夕日は沈み空は星が顔を覗かせていた。
「あ、ぼくもう帰んなきゃ」

窓から出た方が近い。
開け放した窓からはひんやりとした夜風が吹き込んだ。
「じゃあ、おじゃましました、トランクス君、また明日ね」
「鳥や飛行機に気をつけろよ悟天、また明日」

そのまま、舞空術で飛んで行こうとしたが、ふと空中で立ち止まる。
「そういえば、どうして機嫌直したの」
「分かれよ」
「分かんないから訊いてるのに」

悟天にはトランクスがまた顔をしかめる様子が映った。
(あ、やば‥)
「じゃあ、ぼく帰「悟天、俺のこと好き?」

「は?」
「だーかーら!どう思う、俺のこと」
「えぇっ、トランクス君ぼくのこと好きなの!?」
「そ、そんなこといってない!」

(意外だなぁ‥)

「もちろん、大好きだよ!」
悟天はにっこり笑う。
「幼なじみじゃないかー」
「!」

「なんか照れるなーじゃ、またねー」
そう言い残すと照れもあるのかかなりの速度で行ってしまった。
取り残されたトランクスは居たたまれない。

「クソ‥悟天の馬鹿ヤロー!!そういう意味じゃない!」

後日、カプコの窓からそう叫ぶ少年を見た人がいるとかいないとか。

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