花は月に恋をする

□秘密
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出てきたパスタは普通に美味しかった。
東の味付けは濃いというので身構えていたがちょうどよかった。
これなら工藤と同居してもやっていけると考えてから流石に夢見すぎだなと自分に突っ込んだ。
二三口食べた後
「上手いか‥?」
そういって隣に座った新一が訊いてくるのでドキッとした。
なんやこの不安そうな目は‥いつもの工藤ならどうだうめーだろありがたく食えよ、ぐらいのことは言いそうだ。
可愛い‥かも‥
「なあ、服部」
「な、なんや?」
「味見忘れてたんだ、ちょっとフォーク貸して」
「へ?」
そういって工藤は俺が少し麺を絡めていたフォークを手にとり躊躇なく口に入れてしまった。
ちろっと出した赤い舌が形の良い唇をなめる。
「うーん‥やっぱ塩気が足りないか」
「く、工藤ー!」
新一の一挙一動が心臓に悪すぎる。

「一口くらいいいだろ?お前のたこ焼きもあるんだし」
そんなに腹減ってたのか、という目で見つめる新一。
「アーホーそういう問題とちゃうわ!」
「じゃあどういう問題があるんだよ」
間髪入れず冷静に返される。
思わず後ずさる。
「い、いや〜それはやな‥」
新一はジト目でみている。
『あかん、墓穴掘ってしもた‥!』
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