花は月に恋をする

□秘密
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工藤邸の前に着いた。
「相変わらず、でかい屋敷やな」

今は小さい体になって毛利探偵事務所に居候の身だが、昔はここに一人きりで暮らしていたのだ。寂しくなかっただろうか。
「工藤ー工藤ーおるかー」
チャイムを押して声をかけた。
しばらくしてからドアが開かれた。
「よぉー来たか」
「おお、来たったで誰かさんがどーしても会いたいっちゅうからとんできたったわ」
いつ見ても幼い小さな体。
しかしその瞳だけは理知的な輝きを放つ。
工藤新一の面影がはっきりと表れている少年。
「しばらく工藤元気しとったか、これ土産や」
新一はビニール袋を受け取って中身を確認し
「とんできた割には遅かったじゃねーか」と言った。
ったくこのガキャ‥ほんまに女王様気質やな。
「アーホー!こっちはな、昼飯も食わんと自分の電話の後すぐきたんやで。これ以上早く来れるかい!」
「ハハ‥わりわり」
中にはいって居間のソファーに座る。
「母さんが、お前をオレに変装させるためにいろいろ調達しにいった」
「お前のおかんゆうたら女優の工藤有希子」
「詳しいな」
「オレの両親めっちゃファンやってん」
ほんま家族揃って同じような顔を好きになるとは血は争えんわ‥
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