花は月に恋をする
□秘密
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俺たちにより追い詰められた犯人は君たちは最高の探偵だ、と言った。
それに対して工藤は躊躇うことなく
「あなたは最低の人間です」
と言い切った。
たとえどんな事情があろうと犯罪を許さない、冴え冴えとした氷のような工藤新一の眼差し。
火傷しそうなほど清冽で冷たい正義。
あのときはオレも工藤も同じ思いだった。しかし、今あの目に晒されたら多分自分は冷静ではいられない。
裁きを怖れる罪人のように。
工藤。
出来ればいつもそばにいてどんなことでも話をしたい。
そしてすぐ無茶をする彼を危険から守ってやりたい。
ただ守られるだけの子供ではないこともわかっている。
例え自分のように武道の心得がなくても彼はその類い希な頭脳で犯人を追い詰め圧倒する。
そんなところにも惚れ込んだ。
誰よりも大切にしたい。
『だからこれはただのエゴや』
工藤の特別でいたいオレの。
秘密を共有して自分を忘れられなくさせようだなんて、あの犯人となんも変わらんよな‥
平次はそう自嘲した。
新幹線を降り電車に乗り換え東都駅から米花駅に向かう。新一は風邪と偽り小学校を休んでいるため迎えに来れないらしかった。