どこにいても

□第十七話
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すっかり訓練ばっかで忘れてた;

『登校日?!そうだったっけ!』
「はぁ;そうだったっけぇやあらへんがな。ゆうとったやんけ」
『わ、忘れてた…』
「刹那も行くんか?!」
「アホな事ぬかすなや。喜助から話聞いとったやろ」
「聞いとらんわ!刹那が行くんやったらうちが行く!」
「なんでそうなるねん!決めたったやろ!」
「アホ真子だけやと思っとったんや!
しかもアホと二人やなんて……学校やと?あない飢えた獣の巣に刹那を放り込めるかい!」
「俺がおるから心配いらんて」
「お前が一番心配やねん!」
「なんでやねん!」
「なんでぇ?うちが何も知らんとでも思うてんのか?この前刹那に…」
「――っ//!見とったんかい!」
「せやからお前が危ないゆうとるんや!」

……?一体何の話をしてるんだろ。
そんな事より明日の準備しなきゃ!学校の事なんてそっちのけだったから制服しかないし;
あ、そうだ!喜助さんに頼んでこよう!

『ごめん、あたし先帰るね!喜助さんのとこに寄ってくから、じゃ!』

真子とひよ里の話が終わらないままあたしは喜助さんの所に向かった。










『喜助さぁん!』

着いて早々、いつもここに来るときは走って来てるなとふと思ってしまった

「あっ刹那サン待ってましたよ」

カランカランと下駄を鳴らして喜助さんが現れた。

「いつも刹那サンはここに来る時走って来てるッスね」
『ハハ、ですよね;』

やっぱ喜助さんも思ってたか……

「アタシは嬉しいッスよ?そんなに急いでアタシに会いに来てくれるって事は『そうですけど、そっち関係とは違います』

キッパリ言い切った。

「そう言われると寂しいッスねぇ」
『そんな顔に見えませんけど。
って、それより頼みたいことがあるんです!』

話を切り替えて本題に移す。

「待ってましたって言いましたでしょ。明日の事ッスよね?」
『何で分かるんですか?!』
「平子サンに刹那サンは今訓練で忙しくてそっちに手が回らないだろうから準備しておいてくれって頼まれてたんッス」

えっ、真子が……?
そんな事一言も言わなかった

「これッス」

喜助さんが出してくれた段ボール箱に学校で必要な物が入っていた

「中に入っている物で間に合うはずッス」
『こんなにたくさん…ありがとうございます!』
「いいんッスよ。平子サンの頼みですし、刹那の為ッスから」

喜助さんはいつもあたしを助けてくれる。何でここまでしてくれるんだろ?

『あの、喜助さんはどうしてこんなにしてくれるんですか?あたしの為って…』
「そおッスね…最初は監視のためでしたが……

………今はあなたが好きだから、って言ったらどうします?」

いつもみたいなヘラヘラした笑い顔ではなく、真剣な顔で真っ直ぐ見つめられた。

『――冗談はやめてください//!』
「いやッスねぇ、本気なのに」

喜助さんは直ぐいつもの憎めない笑顔をして扇子を口元に当てていた。

『からかって遊んでるし;』
「そんなことないッスよ。それより皆さんとはどうッスか?」
『……あれから皆に話をしたんです。あたしがどこから来たか、今どうゆう状況か。それでも皆受け入れてくれました』
「そうッスか。それは良かった」
『はい。あっ、じゃあ今日はこれで帰ります。ありがとうございました!』

またいつでも来てくださいと玄関先で見送ってくれた喜助さん。

上手く誤魔化された気がするけど、さっきのは何だったんだろ。あんな真剣な顔で言われたらビックリするじゃん!


でもあの時の喜助さんは言葉の真意を扇子で隠している様に見えた。




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