どこにいても

□第十話
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『ユイさんって誰?』

聞きたくても聞けなかった。その答えを聞くのが怖かったんだと思う。
あたしを最初に見たとき真子が言った“ユイ”って名前。全然身に覚えがない。

(「あぁ?!どう見たってユイやんけ!」)
(「せやかて真子!この霊圧ユイの――」)

真子とひよ里ちゃんのこの言葉を思い出す
あたしはユイさんって言う人と何か関係がある?姿が似てる?霊圧が一緒?あたしは…

「ユイは……昔の仲間やった。大事で大切な…な」

すごく寂しそうで哀しそうな顔。仲間を想うとゆうよりは愛しい人を想っているような切ない顔。

『仲間だった?今は違うの?』
「今も仲間やと思うてる。これから先も、ずっと…」
『いつか会ってみたいな』

真子にこれほど想われてる人。きっと素敵な人だ

「それは無理や」
『えっ、何で?』



「………死んだんや。殺された、俺の目の前で」

殺された。真子の目の前で…


(「あかん!来るな!」)
(「あなたにはここで死んでもらう。これから来る未来のために」)
(『…真、子―…』)
(「……ユイ――!」)


―――えっ……

『―――っ!痛っ!』

今までにない頭痛に襲われた。

「おい!刹那!」

真子の声が遠退いていく…
あたしは暗い意識の底に沈んだ



―――――……


【…刹那…刹那…】
(『誰?』)
【あたしは刹那と魂を共有する者、そしてこの世界にあなたを連れてきた者】
(『魂を共有?』)
【そう。さぁ目を開いて。今のあなたならあたしが見えるでしょ?】

ゆっくりと瞳を開ける。すると目の前には一人の女の人の姿が見えた。

(『あたし?』)

確かに目の前にいたのはあたし自身。ただ違うのは着ている物が向こうは死覇装だった。

【あたしは刹那の中にいるもう一人の“刹那”。でもあなたじゃない】
(『え?』)
【あたしは過去。あなたは今を生きている。一つの魂の過去と今、それがあたしとあなた。魂は同じでも中身は違う】
(『あなたは過去?それじゃさっき見たものは…』)
【あれはあたしの記憶。そしてあなたがここに来る事になった元となる出来事。全て百年前の本当の話】
(『あたしはどうしてここに来ることになったの?…ここに来た理由を知りたい』)



【……真子との約束のためよ】


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