どこにいても

□第九話
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家に近付くと俺ん住んどるマンションから煙が見えた

「ん?俺の部屋から出とるやんけ!」

急いで向かいベランダに飛び降りた

「おい!どないしたんや?!」
『ごめん!魚焼焼いてたんだけど―エホッ!ちょっと目を離したらこうなっちゃった;』

ちょっとでこないなるかい;

「換気扇と窓全開にしとったら大丈夫やろ。暫く我慢しよか;」
『うん…ごめんなさい;』

それから十分くらいで煙も落ち着いてきたんやけど………暑っ!
クーラーつけとったのが何もかんも全開にしとるから暑い。何たってここ六階やしな…
しかも暑いって服の裾ヒラヒラやっとる刹那も目に毒や。腹見えとるっちゅうに;

『あ、暑い;ごめんあたしのせいで』
「気にすんなや。今またクーラーつけたったから涼しくなるやろ」

早う涼しくなってもらわな困る。まぁいろいろと…な。

「せや、喜助から預かりもんや。ほれっ」
『わっ!と。何?携帯?』
「あった方がえぇやろゆうとってな」
『ありがと!
…ポチポチ………喜助さんの番号が入ってる』
「何かあったら連絡出来る様に入れとったみたいやで」
『そっか!重ね重ね申し訳ないな。ねっ、真子も携帯持ってるんでしょ?教えて?』
「……あ、あぁ…えぇで」
『今の間は何よ…』
「何でもあらへん」

刹那は慣れた手つきで携帯を弄とった。

俺は一瞬教えるか迷うた。
刹那は何気なし聞いたんやろな。これから一緒に住むんやし知っておくのが普通や。
でも俺らは“普通”とちゃう。仲間にしか番号教えとらん、信頼しとる仲間にしか。番号教えるっちゅう事はそうゆう事やった。刹那はまだ仲間っちゅう程の信頼も力もないけど…
俺は刹那に教えよ思ったんか“ユイ”に教えよ思ったんか?

『よしオッケー。登録完了!
ああ、涼しい!クーラー効いてきたね』
「そやな」

あかん、またモヤモヤしてきよった


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