どこにいても

□第五話
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今考えればあたしは今まで流のまま何にも逆らうことなく生きてきたんだと思う。

「刹那はこれが似合うよ」と言われればとそれらしい物を着て、「刹那はここの高校に行くんでしょ」と言われたら別にやりたい事がないからどこでもいいやとその高校に入学。
別にそれで嫌な想いをしたって事がなかった(かと言っていい想いもしなかったのだけど)から考えなしでここまできた。
単純に、彼是悩む事をしてこなかっただけって事なんだけど。

そして今、そうやって生きてきたのを目一杯後悔した

(どう答えたらいい?)

聞かれて悩む事に対する免疫が出来ていないためただいま脳内フル回転中。しかも答え次第でこの世界が変わってしまうかもしれないという事がさらに拍車をかける。

(ここは本の中の世界であたしはそこにトリップ。平子さんはその本の登場人物なんですだなんて言えない…)


『……………』

「……………」


長い沈黙の末、悩んだなりの答えを話した。

『………あたしは普通の人間です。でもここではない別の場所から飛ばされてきました』
「何のために?」
『それが分からないんです…眠っていたら突然知らない声が聞こえてきて気づいたらこの世界に―――』
「……この世界、やと?」

(やばっ!この世界って言っちゃったよ!どうしよ…;)

「ほな、別ん世界からどっかの誰かに飛ばされたゆぅことか?」
『………はい………
(あっ、スルーしてくれた;ここには尺魂界とか虚圈があるから違和感ないのかな?)

あたしがいた世界はここと何ら変わりがないとこです』

「……そうかぁ。まぁ刹那ちゃん見とる分には悪い人ちゅう感じはせえへんな。妙な感じもあらへんし、そこはええとしよ。
聞きたかったんは何で俺の事を知っとるんかちゅうことや」

あぁ、あたしのバカ。ここに来て平子さんを見た瞬間普通に名前を呼んでしまっていた。

『………あたし……』


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