MAGIC

□飴のように甘い
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「ドロップはさー、やっぱブドウだね。ブドウ。」


リドルのとなりに座っているなまえは、机に手を投げ出しあごを乗せ、目の前に置いているドロップの缶を眺めながら言った。
相変わらずダラダラした様子だ。

「そんなにおいしいのかい?」

リドルは手に持っている本からちらり、目を離しながら聞いた。

「んー、オハジキと違っておいしーよー」
「・・・?ふーん。」


そういってまた、本に視線を戻す。少し気になる発言をされたが、なまえに追求してもどうせきりが無いのであえて聞き返さないリドル。
流石、慣れていらっしゃる。

少しの間をおいたあと、ふとなまえを見下ろす。相変わらずダラダラしている。
そしてリドルはニヤリ、と笑った。何かを思いついたように。
どこか陰があるような、笑みだった。
…この男がこの表情を浮かべるときはたいていろくでもないことが起こる。

「僕にももらえるかな、ブドウ味。」

何か企んでいることが表に出ないように、静かに言った。疑問系じゃない限り、強制の色が見えていることに、なまえは気が付かない。

「んえ?いいけど、甘いよ?」
「かまわない」
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