捧げ物
□離れたくない…
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将軍警護から一週間。
警護自体は何事もなく終えたものの、その時に起きた出来事は千鶴の心に影を落とすには充分な出来事だった…。
「「「千鶴(ちゃん)、今、いいか?」」」
ここ最近、原田さん達だけでなく、沖田さんや斎藤さん、果ては山崎さんまで、私の部屋を訪ねて来ることが多くなった。
「原田さん、永倉さん、それに平助君まで…どうぞ。」
入室を拒否する理由もないので、訪ねてきた彼らを、招き入れる。
「出掛けついでに、菓子を買ってきたんだが、千鶴ちゃんも食わねえか?」
包みを掲げながら言う、永倉さん。
「いいんですか?」
「悪かったら、誘わねえって!千鶴も食おうぜ!」
「こら、平助も新八も、菓子は逃げねえんだから、慌てるなって。…千鶴、せっかくだから、お前も食えよ。甘い物、好きだろ?」
「ありがとうございます。お言葉に甘えて、いただきます。」
こうして、皆は私の部屋を訪れては、お菓子をくれたり、ちょっとしたお仕事を頼みに来る。
(どうして、私なんかに優しくしてくれるんだろう…。戦えないうえに、【鬼】と名乗る人達に狙われている厄介者なのに…。)
原田さん達の気持ちが嬉しい反面、心苦しくもあった。
(私は…、どうしたらいいんだろう…?)
考え事をしていた私は、気付かなかった。
原田さん達が心配そうに、私を見ていたことに…。