捧げ物

□なかなか聞けない本音
1ページ/6ページ

世に言う【三条制札事件】
幕府の制札を守りきった原田さんは、会津藩から報奨金をもらい、島原で宴会が催された。


私も連れてきてもらったのだけど…


「「千鶴(ちゃん)、楽しんでるか?」」


永倉さんや平助君が問い掛けてくる。


既にお酒が回っているのだろう、頬が少し赤い。


「はい、楽しんでますよ。」


にっこりと笑顔を向けて答える。


「その割に、酒は進んでねぇんだな。」


私の膳に置かれた盃を覗きこみながら、永倉さんが言う。


「私、お酒を飲んだことがないので、お料理だけ頂いているんです。」


「そうなのか?この機会に少し飲んでみたらどうだ?」


「え?で、でも…。」


永倉さんの言葉に焦る私に原田さんが助け船を出す。


「新八、千鶴が困ってるだろうが。千鶴、無理に飲む必要はねえぜ?」


「なんだよ左之!せっかくの俺の好意を無駄にすんなって!」


「(これは、きっと私が飲まなきゃ落ち着かないよね…。)」


「原田さん、私、少し飲んでみますね。」


「大丈夫か?無理しなくていいんだぜ?」


「大丈夫です、いただきます。」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ