捧げ物
□雪国の贈り物
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それは、斗南に来て数ヶ月たった頃。
白い粉雪が舞うようになった寒い日のこと――――
「うわぁ…。」
朝起きて、冷えるなと思い、外を見れば真っ白な雪に覆われていた。
「やっぱり、こっちは雪が降るのが早いな。」
京でも、雪が降ることは、勿論あったけど、こんなに早く降ることはなかった。
「あ、そうだ!」
昔のことを思い出し、とある物を探す為、羽織を来て外に出た――――
***
「千鶴?何処に行ったのだ?」
目が覚めて、部屋を出たが千鶴がいない。
何時もなら朝餉の支度をしてるはずなのだが…
「探しに行くか…。」
心配になり、千鶴を探す為、羽織を来て草履を履き、外に出ようとした所で扉が開いた。
「あ、一さん、おはようございます。すみません、すぐに朝御飯の支度始めますから。」
そう言って、外に何かを置き、家に入ってくる。
「千鶴、今、置いたのは何だ?」
「あ、それは…。」
千鶴が答える前に外を見た。
そこには、懐かしい物があった。