現パロ(1P)




ひらり。

ひらり、はらり。


俺は一人、体育館裏で授業をサボって昼寝をしていた。


ひらり、はらり。


淡い薄紅色の花びらが、ひらひら、綺麗だ。


あったけーし。


(こんな日に、授業なんてやってらんねぇよなぁ…)


俺は大きなあくびをしてゆっくりと目を閉じた。


(…あったけぇなぁ…そういえば、)


微睡んでいく意識の中で、ふと浮かぶ、柔らかい笑顔。


(…あいつ、今、何してんのかなぁ…)


年下の、14歳のあの子。

閉じた目を開け、ケータイを開く。

表示するのは、あの子のアドレス。


(…って、授業中に決まってるか…)


俺と違って真面目だから、サボるなんてこと、しねぇだろうしな。

パタンと、ケータイを閉じる。

あの子の邪魔をしたくないと思いつつ、やっぱり気になった。

――今、何の授業をしているんだろう。

――どんな顔をしているんだろう。

――何を考えているんだろう。

――誰を、思っているんだろう。

ぎゅっと、胸が締め付けられる。


「……はぁ」


不意に溜め息がこぼれ落ちる。

こんな思いになるのは、初めてだ。

こんなに、誰かに、会いたいと思うのは。



ひらり、ひらひら。

柔らかい風に、花びらが舞っている。


(…そうだ。今度、)


今度、花見にでも誘ってみるか。

弁当用意してお菓子とかジュースとか…

ふ、二人で、なんて、まだ出来ねぇから、マルコとかサッチとか、ルフィとか…いろいろ、大勢で、みんなでさ。やろうって。


(喜ぶかなぁ…)


満面の笑みが、脳裏に浮かぶ。


「…へへっ」


ひらり、はらり。


舞う花びらを一枚、つまんで見つめてみる。

でも、やっぱり、会いたいなぁ。

そう思ったとき、ケータイが震えた。

開いてみると、今、想っていた人からのメールだった。


――――――――――
件名:あったかいですね
――――――――――

こんにちは!

エースさん、いくらあったかいからって授業サボってお昼寝とかしちゃダメですからね(*`・∀・)b

またサカヅキ先生に怒られますよ(笑)


――――――――――


「だからアイツはエスパーかよ」


嬉しくて、ついニヤケてしまう。


さあ、なんて返信をしようか。





そして俺はまた、気付かない。

桜吹雪が、咲き乱れる瞬間が、迫っている事に。





さくら、ひらひら。



「……貴様も大概懲りん奴じゃのう、ポートガス・D・エース」

「へ…げぇっ!!」

「さて、ポートガス」

ガシッ

「!!」

「来て貰おうかのう…生徒指導室(いつもの場所)まで」

「………………はい」


やっぱりアイツはエスパーだ。



オワリ


何かありましたら、どうぞ!



[TOPへ]
[カスタマイズ]

©フォレストページ