緋華葬
□桜と彼ら
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ひらりひらひら、ひらり、ひら
まるで落ちて散っていくのを己が定めと知っているかのように
薄紅色の桜花弁は散っていく
先に散った花びらを追いかけるようにひらひらと
せっかく長い月日をかけて咲いたというのに、何故こうも潔く散っていけるのだろう
か
だがその散りかたは彼らによく似ている
―――あの頃の俺にも。
何が正しいのか
勝てば正義なのか
貫き通せばそれが誠になるのか
これが忠義なのか
あの頃は分からなかった
けれど
今となってはよく分かる
何が正しいのではなく、心が正しいと思えば、それでいい
あの頃の俺にとってはそれで十分だった
何も、知らない俺には
仲間と騒いで、上司と馬鹿みたいに酒飲んで、ただひたすらに剣術に明け暮れて
そんな日々を永遠に思いながら過ごしていた
おかげで、色々なことが分かった
色んなものを得た
「本当にあの日々が懐かしいな」
ぼそりと、誰にでも言うなく呟いた
あの頃なら、
『そうだな』
といつもへらへらと笑う彼と、
『『らしくないぞー!』』
とからかってくる彼らがいた
浅葱色の羽織を羽織り、誠の旗の下に集った彼らが
けれどももう、彼らはいない。
だから、せめて俺は――――
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