1周年企画小説
□みかん様リクエスト
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はじまりは告白で
「あの!私、雲雀さんのことが好きなんです!付き合ってください!」
「・・い・。・・は、・・・・つ・・・・・ない・・」
「え、あ。はい・・・」
「・・は・・・・り?」
「はい。えっと、聞いていただけて、嬉しかったです。ありがとうございました」
ガチャ
扉を開け、華恋が出てきた。
その目には涙が沢山溜まっていて、今にもこぼれ落ちそうだった。
「っく・・・。うぅ・・・」
フられちゃったよ、と小さく呟き、鞄を取りに、教室へと歩きだした。
(なんで?私、可愛いって、言われてるのに)
(なんで?私、雲雀さんの好きな、茶髪なのに)
(なんで???)
ずっとそんなことを考えながら、華恋は歩いていた。
そして教室に入ると、華恋の親友がいた。
華恋は知らないだろうが、華恋の親友はその日の華恋の様子を見て、雲雀に告白するだろうことを予想していた。
だから、成功したときは一番に祝ってあげるつもりで、フられたときは慰めてあげるつもりで、教室で待っていたのだ。
「お帰り〜。華恋」
「あ、あれ?どうしたのゆんゆん?あいつと帰るんじゃないの?」
「いや〜。久しぶりに親友と帰るのもいいじゃん?」
「そっか。じゃあ、帰ろっか」
「そうだね。でもその前に。私に報告があるんじゃない?」
「・・・ううん。特にないよ?ほら早く帰ろっ」
雲雀に告白したことと分かった華恋は、“あること”を誰にも悟られずにしたかった為、隠して教室を出た。
「ちょっ。待ってよ華恋〜」
それを追いかけるようにして教室を出て行こうとするゆんゆん。
ドンッ
「っあ、ごめん」
急いで出ようとしていた為、ドアのところで誰かとぶつかってしまった。
「って、沢田?部活無いのになんでいるの?」
「あ、まぁ。ははは」
ぶつかったのはツナ。
やけに嬉しそうなツナは、ゆんゆんの問いに苦笑いで答えた。
「まぁいいや。じゃーね」
「あ、うん。さようなら」
華恋を追いかけないといけないので特に理由を聞かずに、ゆんゆんは走り去っていった。
(そういや沢田、なんかやけに嬉しそうだったな〜。顔も、今思うと赤かった気もするし)
(ま、どうでもいいか!)
「華恋〜ちょっと待ってよ〜」
「も〜。ゆんゆん遅いよ〜?」
このとき2人は、自分達が決別してしまうなどと、考えてもいなかったのである。