1周年企画小説
□樋口要様リクエスト
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「5ヶ月前くらいに、空識のクラスに留学生がきたんだ・・・」
「ヒートラー・ムーンライトです。イタリアから来ました。これからよろしくお願いします」
金髪碧眼、スタイルも抜群。
そんなララに、クラスの男子はツナを除いて全員顔を赤らめた。
頭も良く、運動神経も抜群で優しく、先生受けもいい。そんな完璧美少女な彼女は、第2の並中のアイドルとなっていた。
「ふふっ。隼人と武ったら」
「す、すいませんララさん」
「はははっ」
前までならいつもツナと一緒にいた獄寺と山本も、いつのまにかララと一緒にいるようになった。
ララはボンゴレの同盟ファミリーの娘ということもあり、リボーンやビアンキとも仲良くなっていた。
頻繁に沢田家にも行き、奈々や子供達とも仲良くなっていった。
応接室や黒曜にも訪れたが、その2つだけは門前払いをくらい、話すことさえまともに出来なかった。
そんなある日。
「あ、ツナ君」
ツナが帰ろうと教室を出たとき、ララが話しかけてきた。
「なに?ムーンライトさん?」
ツナはララのことが苦手で、何度言われようとも愛称では呼ばなかった。
超直感で、危険を察知していたのかもしれない。
「今から、時間あるかしら?」
「え、うん。少しくらいなら」
「そう。じゃあ、屋上に来てくれない?」
「屋上?いいけど・・・」
「ありがとう。じゃあ、行きましょう」
ツナの手を引っ張り、屋上へと向かうララ。
屋上は普通の学校なら開いていないが、雲雀がよく屋上に行く為、並中は屋上が開いている。
「それで、えっと、何か用かな?」
応接室に行く予定だったツナは早く行きたかったので、屋上に着いてすぐ、ララに質問した。
「えぇ。私と結婚を前提に付き合ってほしいの」
ララはにこりと微笑み、ツナに告白した。
気持ちもなにも籠っていない、ただセリフを言っているような、そんな告白だった。
「えぇっ!?」
「駄目かしら?私、結構役に立つと思うわよ?隼人達にも受け入れられてるし。ボンゴレ婦人にはぴったりだと思うのだけれど」
「え〜っと(獄寺君達に近づいてたのはこの為だったんだ・・・)」
「ダメ?」
「ご、ごめんね。俺、好きな人がいるから。ムーンライトさんとは付き合えない・・・」
「そう」
「?どうかした・・・?」
告白を断った途端下を向き、どこか気配が変わったララに、ツナは声をかけた。
「いいわ。あなたには明日から地獄を見てもらうから。私の告白を断ったことを、後悔することね」
能面のような無表情に冷たい瞳でそう告げ、ララは屋上から去っていった。
「空識、さっきのどういうこと?」
ツナが唖然としていると、ドアの上の場所から雲雀が降りて尋ねた。
「あ、恭弥さん・・・」
「(さん付けはいらないって言ってるのに)さっきの女、何?」
「ええっと、ボンゴレの同盟ファミリーの娘らしいんですけど・・・。俺、明日からいじめられちゃうかもしれませんね」
「・・・なんだって?」
低くドスのきいた声で雲雀は呟いた。
自分の主が傷つけられるなんて、赦せない。
「恭弥さん。今回俺になにがあっても、彼女達に手は出さないでくださいね」
雲雀がいっそのこと殺しに行こうかと考えていたとき、ツナがそんなことを言い出した。
「はぁ?何言ってるの?殺すに決まってるでしょ」
「命令です」
「・・・分かったよ」
闇口は奴隷。何があろうとも、主の命令には逆らえない。
雲雀はしぶしぶながらも頷いたのだった。