〜新月ノ魔法〜
□俺様、神様、綱吉様っ
3ページ/15ページ
そして翌日。
ツナが学校に行くと、“ある話”で持ちきりだった。
「雲雀さん、がっ・・・!?(・・・やっぱあの女やりやがったな)」
“雲雀恭弥が昴りりすに暴力を奮った”
ツナも山本達に聞かされて知ったのだが、その噂はこんな物だった。
登校してきたりりすが、涙ながらに語ったらしい。
りりすは、全身に痛々しいくらいに包帯を巻かれ、包帯を巻かれていない所には、青あざがあちこちに見える。
「昴って香水もつけてたし、化粧もしてただろ?スカートの丈は短くしてるし、髪は最近染めたらしくって、違反ばっかしてただろ?
そのことで雲雀が放課後に呼び出して・・・・・・そのまま、無理矢理」
「で、でも!雲雀さんがそんな事するはずっ」
「じゃああの怪我は何て説明するんだ?・・・・・・何か、がっかり、って感じだな」
「ホントだぜ。十代目も奴に近づかないほうがいいですよ」
山本と獄寺が、嫌悪も露わに表情を顰める。
クラスの会話に耳を傾けても、雲雀を悪くいうものばかり。
誰一人として、雲雀を信じる者はいなかった。
「・・・そっか。あっ!」
ツナが思い出したように声をあげる。もちろんわざとだが。
「?どうしたんですか?十代目」
「俺、リボーンに呼ばれてたんだった。何か、緊急の用事らしくって。保健室にでも行ったって言っといて!」
二人にそう言うとツナは教室を出て行った。
「あっ、十代目!」
「ってもういねぇ。ツナ早いなー」
リボーンに呼ばれてたと言ったがもちろん嘘だ。ツナは今、応接室に向かっている。リボーンも多分応接室に行っているだろう。
「俺様の所有物に手ぇ出すなんて、いい度胸してんじゃねぇか。あのメス豚」
応接室に行く途中で忌々しそうに呟いた。
ツナは雲雀を気に入っている。
そんな雲雀をこんな目にあわせたりりすに、ツナは苛ついていた。
コンコン
ガチャ
「雲雀さーん。沢田綱吉でーす。失礼しまーす」
応接室に着いたツナは、ノックのすぐ後にドアを開け、勝手に入った。
「何勝手に入ってるの」
案の定雲雀に怒られた(?)
「すみませーん。あ、雲雀さん、リボーン来てませんか?」
「赤ん坊?来てないけど・・・。それより君、あの噂、」
雲雀が言いにくそうにしているとツナが口を開いた。
「あぁ。あんな噂信じてませんよ。大体、あのメス豚が雲雀さんに告白してるの見てましたし」