雪ノ中 紅イ薔薇
□伍ノ型
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「俺、負けただろ? どうして生命大使に合格できたんだ…?」
するとハルは一旦止まり、こちらを黙って見た。
「………」
俺は戸惑いながらも目を合わせる。
「……生命大使は治安や人々を護るもの。お前は、護った。それだけだ」
ハルは言い終わると、そのまま背を向け歩き出す。
「……だが、怪我をさせて………悪かった」
あぁ、何だ。
ハルは照れ屋なのか。
そう解釈しながらも俺は笑った。
「らしくないな」
「…煩い」
「そうだ、ハル」
初っ端で呼び捨てはどうかと思うが。
だが幸いハルもさほど気にしてはいない。
「………何だ」
「何で裸足?」
「あぁ……。面倒だから、だな…」
「切れねぇ?」
「何故か一度も」
そう言って、ハルは片足をあげる。
実際、切り傷なんかは見られない。
「履くときは履く」
ハルはそのまま扉をノックした。
どうぞ、と。
中から声が聞こえる。
「カナタ。行くぞ」
そして扉が開いた。
†