Short

□君なんか
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いつもの学校

いつもの昼食

いつもの屋上


1つだけ違うのはいつものメンバーじゃないってことだけ。


浅野は珍しく風邪で欠席
小島は恐らくお姉様たちを侍らせてサボり
茶渡は用事があるからと早退


静かな午後
屋上にいるのは一護と雨竜だけだ。


「……………」

「……………」


沈黙が流れる。
重苦しい空気に耐えかね、一護が口を開いた。


「なぁ、石田」

「……何」


返ってきたのは素っ気ない返事。
雨竜は卵焼きを口に入れもごもごと咀嚼する。

その食べ方が小動物みたいで一護は目が離せなくなった。


「何だと聞いているんだ、何なんだ君はさっきから」

「あ、わり…」


ツンケンした態度で眉間に皺を寄せる雨竜。
一護は自分が何をしていたかを悟り慌てて謝った。


「お前の食い方って可愛いよな」

「はぁ!?」


唐突すぎる言葉。
ストレートな物言いに雨竜は顔を赤らめた。


「お、赤くなった」

「うっ、うるさい!僕で遊ぶな!!」


顔を真っ赤にさせて喚く雨竜。
一護は内心新しい雨竜の表情を見て心臓が早鐘を打っていた。


「お前のそういう所好きだぜ」

「は…」


カシャンと音を立てて落ちる箸。
次の瞬間、雨竜は一護の胸に顔を埋めていた。


「馬鹿、離せっ!ここを何処だと思ってるんだ!!」

「離さねぇよ、お前が返事くれるまで」


尚も抱き締めてくる一護のシャツをぎゅっと掴みながら


「君なんか…嫌い…じゃ、ない、よ……」


結果、雨竜は一護にさらにきつく抱き締められることになった。




-fin-

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