短編

□愛を込めて
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パン、と乾いた音が部屋に響いた。左頬に衝撃が走る。いつもボスに殴られているが、今殴ったのは同僚兼自分の想い人である沙衣加だった。
「う゛ぉ゛ぉぉおおい!!何しやがんだぁ!!」
「おはよ」
いつもの可愛らしい笑顔を向けられて嬉しくない筈はないのだが、今日は違う。
「挨拶すんなら言葉いいだろうがぁ」
「…嬉しくないの?」

“ウ レ シ ク ナ イ ノ”

は、
「どーゆーことだぁ…沙衣加…」
「ボスが“カス鮫はマゾヒストだからどんどん殴ってやれ”って言ってたから。確かにボスもよく殴ってるから殴ろうかなーと思って。」
「お前はボスに言われたらなんでもするのかぁ?」
「いや。
ていうか、痛かった?悪い、」
「あのクソボスがぁ、ったぁぁああ!!」
突如後頭部からまた激痛が走る。
「誰がクソボスだ。ドカスが」
「ボス、スクアーロ全然マゾヒストじゃないですよ」
「…違ったのか」

は、
「まぁ、ボスはいつも殴ってるからわかんないですよねー
…えい」
「ったぁぁああ!!」
顔面直撃。
反射的にぶつけられた物を取る。
…チョコレート。しかも可愛くラッピングしてるやつ。思わず口元が緩んでしまうのをボスは見逃さなかった。
「…やっぱ、マゾヒストだろ」
「ちげぇぇえええ!!」
end.
 

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